進化はしないが、変化はできる。できる男になってやる。
2009年 8月 21日
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アキトの履歴書 18
2009.08.21
カテゴリ : ルーツ/アキトの履歴書
(内職工場)
高校卒業の頃(昭和38年)は、住居の一室のお座敷工場から、宮田の駅の踏切りのすぐ西にあった現場小屋
(旧渋谷林業の材木置き場)を買うことが出来、工場として本格的に仕事が出来る体制を作り始めた頃であった。
当時の小木曽製作所は手加工品の量産しか対応できず、機械設備もなかったため、手がけていたものは、
澤藤電機向けの圧縮弁ばね一辺倒であった。(50∞、60∞用)
冷蔵庫用のそのばねは、ドイツのエンゲル社の特許品に使用されていた。
電気を流すとばねが動き、それにより圧縮されたガスを利用して冷やすという機能の部品である。
家庭用、業務用、自動車にも使用されていたもので、“つい最近まで”世に出ていたのではなかろうか。
現場小屋を改造した工場は、道を挟んで日発の正門の真正面に位置していたため、
下請けとして近くて便利さはあったと思う。
それは小木曽製作所においても。
圧縮ばねをクリープテンパー工程(注1)にかけるにも、熱処理する設備すらなかったため、
リヤカーに製品を乗せては日発の構内、会社を行き来し、設備を使用させて頂き熱処理をしていたのだった。
(注1) 圧縮ばねを製作する時、ばねの高さに十分余裕をもって作り、締付け工具で密着まで締め付け、
クリープテンパー温度で適切時間過熱後、あらかじめへたりを十分起こさせてしまう方法。
ある条件下でばねを使用する時、“へたり”が発生する場合があり、これを防ぐ方法として、
ばねにあらかじめ使用荷重以上の力を加えて“へたり”を取り除く方法が用いられる。(=セッチング)
使用温度以上に熱した状態でセッチングをするのは「ホットセッチング」と呼ばれる。
ばねを冶具や締付け工具等で、所定の荷重位置や密着まで締め付け・固定した状態で熱処理を行う方法が、
「クリープテンパー」と呼ばれる工程である。