アキトの履歴書 46
2013.9.21
(青年期9~プラトンのすすめ)
東京オリンピックで初のお上りさんとなった翌年(昭和40年)、町公民館の図書管理を任された時期があった。
当時、町1~3区は公民館一体運営で、公民館内には分館合同の図書館があり、
毎年、村から2~3冊の新冊本が提供されていた。
週一回の当番で、借りる人、返す人の記帳を預かるというものだった。青年会で盛んに先輩が言う
イデオロギー(思想)問題を少し勉強でもと、興味半分でその手の本を一時期、片っ端から読んでみた。
主に革命について書かれたものが多かった。フランス革命、ロシア革命、辛亥革命、等々だったが、
どの革命の歴史本を読んでも、この国に当てはめるには無理があり、とてもそうはならないだろう。
日本の状況は全く違う。
流行り病のように左翼主義に感化された先輩衆の言う事は、所詮、にわかかぶれだと感じた。
そもそも日本の国土は小さく狭い。その上、細長い島国で四方は海に囲まれ、しかも、資源が無い国だ。
この事実は変えようが無く、自給自足で生きられる訳がないのだから、共産主義なんてなりたくても不可能なのだ。
“外国から資源を仕入れて加工して、良い製品を開発し輸出して付加価値で稼ぐ”
これしか日本の国が生きていく道はないし、そのためには、自由主義経済社会を標榜して進んでいかねばならない。
と、私は強く考えていたので、結局、社会主義・共産主義に与する(くみする)ことはなかった。
この頃、心を打たれた本は、『坂本龍馬 全4巻』がある。これを読んだ時、龍馬の生きざま、
自分の事でなく日本のために生きようとする姿、心情、心意気に感嘆した。
なかでも姉への手紙で
「今一度日本を洗濯致したく候」の言葉は印象深い。
それから後、図書棚に並んだ書籍の中にひときわ大きく厚いオレンジ色の本が目についたので、これも読んだ。
『プラトン』古代エジプトの哲学者の本だ。
その内容は、50年近く経った今でも強烈な記憶として頭の中に焼き付いている。
まさに目から鱗(ウロコ)だった。
~その昔、人類の祖先は男女兼ね備えた強く逞しい生き物で、時に悪戯(いたずら)をして困ったものだったので、
神はお怒りになり、男と女の割り符にしてしまわれた。そして、更には寿命を与えられた。
これで半人前になった人間は、お互いに引き付け合い、出来得る限り、
より良い相手に巡り会うべく努力することとなった。それが人間を成長させることにもなる。
また、寿命があるということは、人生は一度限り。繰り返しはできない。
だから、誰しも命のある限り、精一杯懸命に生きることとなるのだ。~
という事が書かれていた。
『プラトン』を読んでから私は、自分なりの人生観、生き方を常に心に抱いて生きることにしている。
とても良い本だと思うので、今の若い人たちにも読んで欲しいし、話して聞かせても良いかも知れない。
(さて、現在の村の図書館にプラトンの蔵書があるかどうか?)
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